カボチャの馬車は、途中下車不可!?
決意とともにキュッと唇を引き結んで、前をみたところで。
突然。
「ふっ……ぁはははははははっ……!!」
……へ?
ライアンさんが声をあげて笑い始めて、私は唖然と固まった。
「あ、の……?」
「あはははははっ……!! マユミって、マユミって……さ、あはははっ……」
前かがみになって膝を激しく叩き、全身を震わせて。
何これ、本気で笑って、る……?
周囲のお客さんやスタッフたちも、ギョッてドン引きしてる。
えっと……私、何かウケるようなこと言ったっけ?
「なかなか、手厳しいね。でも……くくく……っ……これは、おもしろいな」
ようやく笑いを収めると、涙をぬぐいながら私を見た。
「お見通しのようだし、隠しても仕方ないか。まぁ、女の子は好きだよ。それは否定しないけど……でもフジツなことはしてない。同時進行してる相手がいるときは、それでもいいかって事前に確認してるしね。あぁちなみに今は完全なるフリーだから、安心していいよ」
そう言うと王子様は人の悪い笑みを浮かべ、ぺろりとグラスの端を舐める。
もうその瞳の奥の黒い炎を、隠そうともしていなかった。
もちろんそこに、さっきまでのイノセントな光はかけらもない。
戦いのゴングが、どこかで高らかに鳴った、ような気がした。