カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「聞いてどうする?」
「っ……どうって、言われても……」
どうすることもできない。
そんなこと、わかってるけど……
それ以上突っ込むこともできなくて、うつむくと。
「シンガポールだ」って、思いがけず、労わるような調子で教えてくれた。
「シンガポール?」
「SDの本部に呼び出されて、説教食らってる」
「せ、説教?」
「言っただろ、オレたちの任務は『トラブルが表ざたになる前に、迅速かつ秘密裡に処理すること』だって」
「う、うん?」
「で、今の状況は?」
「今の? ……あ」
今でこそ報道もそろそろ下火になってきたけど……
少し前まで、テレビも週刊誌もネットも、大騒ぎだった。
警察は今も動いてるはずだし……
頭の中を読んだみたいに、伊藤くんは頷いた。
「ライが警察にタレ込みやがったんだ。マスコミにまで情報くれてやってさ。おかげで上は青筋立ててるってわけ」
ライアンが……?
「なんでか、わかる?」
「……そりゃ、きちんと法律で裁かれるべきだと思ったから、でしょ?」
「全然違うな。あんたのためだ」