カボチャの馬車は、途中下車不可!?

どうしよう……
ものすごく、彼に会いたい。

「これで満足したか? 時間ないから、もう行くぞ」

立ち上がる彼を、「伊藤くんっ!」って叫んで呼び止める。

「今度はなんだよ?」

「どうしたら……会えるの?」


ぽろりと。
自分の口から零れ落ちた弱弱しい声に、ハッとした。

私は……私は、まだこんなにも、彼のことを……



「本気になっちまったか」


「っ……わ、わたし……」

取り繕う言葉も、見つけられなかった。


そうだ。本気——……

胸が焦げそうなほど熱くて、切ない何かが。
ぐるぐると身体を奥から焼きながら、せりあがってくる。

苦しくてもう……呼吸すらうまくできなくなりそうだ。

それをなんとか喉の奥へ、飲み下した時。
彼にしては小さな、ためらいがちな声が聞こえた。

「あいつのことは、忘れた方があんたのためだぜ」

「………っ」
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