カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「そうだ。もしかしたら、素敵な出会いがあるかもよ? テレビとか雑誌とか、いろんなところが取材に来てると思うしね」

もうすぐ着くのにまだ緊張してるから、思いつくまま口にしてみたんだけど……

「え……あたしにオススメの人、いそうですか!?」
飛鳥マジックだ! なんて期待に満ちた目で見つめられてしまい、うっと言葉を飲み込んだ。

「それは……自分でがんばってみたら? ラムちゃんの好み、私はよくわからないし」
「えええ〜飛鳥さんが紹介してくれなきゃ、マジック発動しないじゃないですかぁ」

不満そうな彼女に、「ごめんね」って肩をすくめた。
協力してあげたい気持ちはあるんだけど……紹介するのはもうやめるつもりなんだ。

青山さんのことがあって、彼女のこと何も見えてなかった自分に気づいて。
自信が持てなくなっちゃったのよね。

でもラムちゃんならきっと自分で見つけられるはず、と励まそうと横を向いて——ギョッとした。どよよんって文字が見えるほど暗いムードを漂わせ、しょぼくれてるから。

「ちょ……どうかしたの?」
驚いて体ごと向き直ると、「飛鳥さーん」って、投げやりな声が返ってきた。
「あたし、お見合いするんですよ」

「お見合い?」

「うちの親、勝手にあたしの部屋のオルレアングッズ金庫にぶちこんだ上、鍵がほしけりゃ結婚相談所に登録しろって言うんですよぉおっ! ひどいと思いませんかっ!!」
話してるうちに怒りが募ってきたらしく、ついにはこぶしを振り上げて、「あれが親のすることか!」と叫ぶ。

「それは……かなり強硬手段に出たのね」

「あたしが一つ一つ、どんな思いで、いや執念で集めたか……くくぅっっ!!」
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