カボチャの馬車は、途中下車不可!?

この2か月間、ずっと考えてた。
どうやったら彼を忘れられるだろうって。

仕事詰め込んで、無理やり笑って。
なんとか早く忘れなきゃって頑張って。

でもわかったのは……今はまだ、難しいってこと。


確かに彼は、犯罪解決のために私に近づいただけで。
気持ちは一方通行だったわけで……すごくつらいけど。

でも……どうしてかな。
彼を責める気にはなれないし、出会わなければよかった、とも思えない。

初めてだったから。
自分のことがどうでもいいって思ってしまうくらい、あんなに熱くて激しい感情は。

私にとっては、運命の恋、だったんだと思う。
一生に一度の。
奇跡のような出会いだったと、思う。

そしてそれは、新しい恋で埋めてしまえるほど、小さなものじゃない。


だから、もういいんだ。
忘れようってがんばるのはやめる。
無理はしない。

この先結婚できないかもしれないけど、
お一人様の老後かもしれないけど、
そういう人生だって、アリだと思う。
自分に嘘をついて生きるより、それはきっと、私らしい。

それが、この2か月悩みながら出した、自分なりの結論だ。

「ごめんね」
笑顔を作ってもう一度謝って、「あ、もう着くよ」と窓の外を見る。

沈む陽を受けて、燃えるような色に染まったそのビルが、近づいていた。
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