カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「うわぁあああ! 超ごーか!! さっすがオオタフーズ、規模半端ないっ!」
シャンデリアが連なるレセプションホールへ到着すると、ラムちゃんはあっという間に普段の調子を取り戻した。
「あ、あれ美味しそう〜! 取ってきていいですかっ」
広々した会場内に設置された各ブースでは、同社の商品をその場でスタッフがアレンジ調理の上提供してて、ビュッフェスタイルで楽しめるようになってる。
あちこちに、機材を抱えたカメラマンさん、アシスタントさんが待機してて。
お得意様なのかな。ちゃんとドレスアップしてる女性たちもいて。
まるで芸能界のパーティーにでも紛れ込んだみたいな華やかさだ。
まさかこんな大掛かりなイベントになると思ってなかったから、いつも通りのスーツで来たのに。
もうちょっと派手めにしてくればよかったかな。
「うわ、マジで!? 飛鳥さん飛鳥さんっ! あそこ見てくださいっ!! 結城栞(ゆうきしおり)ちゃんじゃないですかっ!?」
ラムちゃんが指した方を見ると、重役然としたおじ様方に囲まれるようにして、色白の美少女が立ってる。
「あぁ彼女、今回のイメージキャラクターだから。今日も後で何かしゃべるんじゃないかな」
説明しながら、少し苦い思いをかみ締める。
さすが帝電サマ。
この会場の豪華さといい、人気女優との契約といい……
自分だったら、これだけのものを用意できただろうかと考えると。
まだまだ、だ。
気を引き締めるように、唇をきゅっと結んだ。