カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「……ぎさん、真杉さん?」
「えっ!?」
肩を叩かれて、ビクッと振り返った。
「あ、あぁ……樋口さん、すみません。ちょっとその、ボーっとして」
「見惚れてたんでしょう、彼らに」
樋口さんはニヤリと、いたずらっぽく私を見る。
「彼、『ら』?」
首を傾げながら、もう一度目を戻すと。
確かに……ライアンは一人じゃなかった。
隣に、同じくスリーピーススーツに身を包んだ、長身の男性がいる。
サラサラの茶髪に縁どられた、端正な面立ち。
完璧な造形美の、アーモンドアイ……
あれ、あの人、どこかで……?
——うわ、超絶イケメンが2人もっ!! オーラすごすぎっ!!
——ねえ、あれって確か……っ!
——ちょっと、オオタフーズに確認してよ。インタビュー取れないかな。
近くにいたテレビ局のチームが色めき立ってる。
確かに。
2人が言葉を交わしながら並び立つ様は、額縁をはめて保存したいくらい美しい。
「ほんと、一般人のレベルを軽く越えてますよね」
呆れたように言う樋口さんを振り返って、慌てて尋ねた。
「あの人たち、ご存知なんですか?」