カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「その呼び方、止めよう」

「……呼び方?」

「敬称はいらない。ついでにビジネスライクな敬語も。そういうの苦手だからさ。なんていうんだっけ日本語で……そうそうタメ口。それにしない?」

「でも……」

「年長者に敬意を払うっていう日本の習慣は素晴らしいと思うけど、ケースバイケースでいいんじゃないのかな。特に、男と女にはさ。なんだか壁を感じちゃうだろ。ね、だからタメ口。OK?」

「う……わかりまし……わかった」
了解してから。
年長者? って、ふと不安を覚えた。

「えっと、ライアン……て、いくつなの?」

言った途端。
「え?」って、視線の先の眉が怪訝そうに跳ね上がった。
「……30だけど。プロフィール見てないの?」

プロフィール……そっか、そういうものがあるのね。

「え、あ……そうだった、ごめん忘れてた」
慌ててへらって笑ったけど……ごまかせた、だろうか?

いけないいけない。
余計なことは言わないように気をつけなくちゃ。
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