カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「あれ、知りません? カレントウェブの吾妻社長とリー専務。最近ちょこちょこ媒体で取り上げられてますよ」

「か、カレントウェブ……?」

その言葉で、ようやく思い出した。
ライアンの隣にいる彼が、以前雑誌で見かけたイケメン社長だってこと。

じゃあ、一緒に会社やってる大学の友達っていうのは吾妻さんのことで、彼はカレントウェブの社員なの?

でも今、リー専務って……リー……?



あぁ……


そうか。
パズルのピースが、また一つ、ピタリとはまった気がした。

リー……ライアン・リー。
それが、きっと彼の本名なんだ。

別名を名乗っていたのは、リーズグループの関係者だってことを隠すため。

なかなか会社のことを話してくれなかったのは、社内で使っている本名を、私に知られたくなかったから。

そういうことか——


「うわっ! しまった、追加の連絡入れるの忘れてたっ!」
突然、樋口さんがバインダーをバンッと足に打ち付けながら叫んだ。

「すみません真杉さん、ちょっと失礼していいですか? 後でまた」

「は、はいっどうぞどうぞ」
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