カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「ちゃんと気持ち伝えなきゃダメです! 諦めないでくださいっ」
私の腕をムギュ、と強くつかむラムちゃんには、もはや、それが至上命題ってムードすら漂っていて。
「飛鳥さんってば!」
ど、どうしよう……事情を説明できるわけもないし。
でも、本気で無理なのに……と、困り果てて——とっさに、握っていたボールペンを彼女へと押し付けた。
「は? これ、は……?」
「これはその、えーっと……」
あたふたと周囲に目をやり、端のブースで話し込むその人を見つけて「あそこ!」と指さした。
「あの人の落とし物なの。広報の樋口さん。悪いんだけど、届けてあげてくれない?」
我ながら下手な時間稼ぎだと呆れながらも口にすると。
ラムちゃんはボールペンを手にしたまま、——硬直してる。
え?
「ラムちゃん? おーい、ラムちゃーん?」
ヒラヒラ、目の前で手を振っても反応がない。
え、嘘。私、何か変な事言った? え? どのへん?
突然の変化に驚いていると。
「こ、ここ、くぉれはぁっっっ……!」
アニメーションなら、ぐぉおおおって効果音付きで活火山から何かが飛び出してくるイメージ?
ガタガタと震え始めた彼女はみるみる頬を真っ赤に、瞳をキラキラ潤ませて……。