カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「ら、ラム……ちゃ——」
「これはぁっフルールくんじゃないですかっ!! 王立空軍ワルキュリーエ総帥にして伝説の竜騎士、シリウス・バッセ様のドラゴン、フルールくんのフィギュアつきボールペンではないですかぁっ!! しかもフライングバージョンっ!!」

怒涛の如く並べたてられた固有名詞に圧倒されながらも、それがアニメの話だということは……うん、なんとなく理解できた。
しかも、ラムちゃんお気に入りのやつ。

じゃあ、樋口さんもオルオタだったってこと?
そんな雰囲気なかったけど……

「広報の樋口さん、ですねっ! ラジャでっす!!」

叫ぶなり。
どぴゅんっ!
ワープ級のスピードで、樋口さんへと突進していく——……アニメ、おそるべし。


でも……助かった、かな。
これで彼と会わずに、ここから逃げ出せる。
ふぅ、と全身から力を抜いた。




「真杉さん」



名前を呼ばれて、「はい」と何気なく振り向き——固まった。


手招きしていたのは、大河原さん。
その傍らには、吾妻さんと……ライアンがいた。
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