カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「似合ってるよ、すごく」

留め終わったのに、
その悪戯な指は、なかなか肌から離れていかない。

うなじから鎖骨へ。
彷徨っていく。

触れた先から、彼の体温が伝わって。
体の奥に、ジリジリと疼くような熱を灯す。


どくんどくん……


これ……何?
私、なんでこんなにドキドキしてるわけ?


それは、自分でも知らない自分で。
私はわずかに狼狽える。


これから数時間、ほんとに大丈夫だろうか——



「では……My princess,shall we?」



まるで本物の王子みたいに、芝居がかった仕草で恭しく差し出された手。
引き返すこともできず、私は覚悟を決めて、自分の手を預けた。


麗しく煌く翡翠色の瞳の奥に。
潜むのは天使か悪魔か。

その時はまだ、全くわからなかった。
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