カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「ぃ……いやいやいや、ないない!」
強く左右に、首を振る。
絶対ないから!
こんなの、きっと……ほら、あれよ。
雰囲気に流されてるだけ。
きれいなドレスと、おいしい料理とお酒、ムード満点の夜景。
お相手は超絶美貌の王子様とくれば。
どんな女子だって、グラっときちゃうに決まってる。
だから……そう、それだけ。
きっと、それだけだ。
「何がないの?」
ハッと振り向くと、すらりとした長身がすぐそばに戻ってきていた。
「も、もう電話は終わった?」
「ん。ごめんね、もう大丈夫。解決したから」
謝りながら手すりに頬杖をついた彼は、探るように私を見上げる。
「ご満足いただけましたか、My princess?」
「ありがとう。ほんとに楽しかった。さすが、慣れてるのね」
全部認めてしまうのも癪で、チクリと皮肉っぽく言うと。
王子様は、蕩けるような微笑を浮かべた。
「ここまでしたのは、君だけだよ?」