カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「ですよねっ! あぁもうすぐ斗真様にまた会えるぅっ! ファルコン総帥っっ!! 今参りますぅ!! あ、鼻血でそっ」
黙ってれば楚々とした美少女なのに。彼女が残念女子、と言われる所以だ。
「いつも思うんだけどねラムちゃん。そういうアニメ関連で、彼氏探せばいいんじゃないの? 私に頼むんじゃなくて」
「えぇっそれとこれとは別ですよ! だってみんな生活力ない人ばっかりだもん」
あ、そうですか……結構しっかり考えてるんだな。
「二次元は二次元、三次元は三次元。さすがにあたしだって、ちゃんとわかってますよぉ。夢と現実は違うってことくらい」
夢と現実、かぁ……
彼女の言葉が、ずしりと来て。
そうか、と私は視線を持ち上げた。
きっと——彼との時間もそうだったんだ。たった一晩だけの夢。
王子様と過ごした、魔法にかけられたみたいに不思議な時間。
ものすごく楽しかったけど、永遠に続く夢なんてない。
夜が明けて、夢から覚める時間が来た。それだけのこと。
まぁ目の保養にはなったし。
あんなイケメン、もう二度と会うこともないだろうし。
貴重な体験できてラッキー、みたいな?
そうよね。だから……気持ち、切り替えよう。
日常に戻らなきゃ。
今日もたくさんの仕事が待ってるんだから。
ぼやっとなんて、してられない。
そうだ。
月曜といえば、さっそく朝イチからミーティングだ!
部長から突っ込まれてもいいように、もう一度資料確認しておかなくちゃ。
よしって気合を入れなおすように、ひとつ、深呼吸をした。