カボチャの馬車は、途中下車不可!?
ふぁさっ……
視界にあふれたのは、大量の深紅のバラ。
それを差し出して微笑んでいるのは——
「Good morning, darling」
すべてのバラは、こいつのために生み出されたんじゃないだろうか——
そんなことを考えてしまうくらい、花束と見事に調和する美貌の王子様が、そこにいた。
「うそ……」
かすれた声が、ぽつりと落ちる。
押し付けられた花束を機械的に受け取りながら、もつれる唇を必死で動かした。
「ら、ライアン? や、え、なんで……っ」
なんで、どうして、彼がここにいるの?
パニックに陥って、冷静さを吹っ飛ばし。
アワアワと言葉を失う私の前。
週末の間中私を悩ませたそのセクシーな唇を持ち上げて、ライアンは妖艶な笑みを作った。
「ガラスの靴を、届けに来たよシンデレラ——いや、真杉飛鳥サン?」