カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「……まさか会社にまで来るなんて」
大好物のカルボナーラは手つかずのまま。
食欲なんて、全然ない。
対する美弥子は。
ニヤニヤ笑いながら、自分のナポリタンをもりもり頬張ってる。
「わたしも見たかったなぁ。うちの課の子に聞いたけど、バラ背負って、まんま王子だったそうじゃない。そんなレアなイケメンと一緒にホテルまで行ったのに、なんで逃げちゃうわけ? 初めてってわけでもあるまいし」
「だって、相手は私のこと青山さんだと思ってたわけで……」
「デートして気に入られたのは、飛鳥でしょ?」
「気に入られた……のかなあ」
「じゃなかったら、ホテル連れ込んだりしないって」
うーん……まぁ、そうかも。
嫌われてはいなかったと思うけど。
「この際、体から始まる関係、っていうのもアリなんじゃない? これからお互いを知っていって、本気の恋に育てていけば。今時ネット婚活なんて、珍しくもないんだしさ。しかも、御曹司ってホントなんでしょ?」
それは……まぁ、そうだと思うけど……
少し考えてから、私はきっぱり「やっぱり無理」って首を振った。
「どうして?」
「ネット婚活を否定するつもりはないけど……彼に限って言えば、やっぱり遊び相手を探してただけだと思うから」
誰とでもそういうことできそうな、っていうか、してきたって雰囲気を、隠そうともしてなかったし。
まぁ……危うく乗りそうになってしまった私も私だけど。