新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 

「それと……明日からの話なんだけど」

「え?」

「桜には予定通り、企画部に所属してもらう。秘書の近衛に明日の朝案内させるから、とりあえずそれだけは頭に入れておいてほしい」


力強く告げられた言葉に、心臓は早鐘を打つように高鳴りだした。

……そうだ。私は、いよいよ明日からLunaの社員になるのだ。

憧れのLunaのジュエリーが産み出される瞬間に、これから私は立ち会える。

そう思うと武者震いして、身の引き締まる思いになった。


「企画部は少数部隊ではあるけれど、光る個性を持った優秀な人間たちが集まっている。桜は彼らから、とても多くのことを学べるとも思う」

「……ありがとうございます。私、がんばります。これからのLunaに……少しでも湊の役に立てるよう精一杯努めるので、何かあればビシバシご指導、よろしくお願いします!」


変な体制ではあるけれど、湊の膝の上で背筋を伸ばして宣言すると、湊は一瞬、キョトンと目を丸くして私を見た。

そして次の瞬間、フッと顔を綻ばせ、まるで美しい花が開くように、綺麗な笑顔を浮かべて私を見た。


「その気持ちだけで、俺はこれまで以上に仕事に打ち込めそうだ。こちらこそ、ありがとう」


突然の感謝の言葉と綺麗な笑顔に見惚れていたら、腰を引き寄せられて、唇に優しく甘いキスをされた。


「ん……っ」

「あと……苗字のことなんだけど」

「……苗字?」

「ああ。俺と同じ"如月"でいくか、旧姓の"花宮"でいくか。桜がやりやすいほうを選んでいいけど、それによって俺も色々と会社での振る舞いが変わってくる」

 
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