新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
 

「……湊、ほんとにごめんね」


せっかく決心したのにこんな結果になってしまって、申し訳ないやら情けないやら、穴があったら入りたい。

何より湊に我慢させてばかりで、さすがにこれは謝っても謝りきれない気もする。

せっかく良い雰囲気だったのに、それこそ妻としての役目が果たせていないのではないだろうか。


「あ、あの……湊、ごめんなさ──」

「……桜は、謝らなくていいから」

「で、でも……」

「そのかわり、終わったらお預けされていた分だけ、俺の気が済むまでさせてもらうし」

「え?」


思わぬ言葉に固まると、湊はイタズラに目を細めた。

ドキドキと高鳴る鼓動は不安からくるものなのか期待からくるものなのか、もうわからない。


「大丈夫だよ。さっきも言ったとおり、ゆっくりと気が済むまで、味合わせてもらうから」

「ん……っ」


そう言うと、湊はそっと私の唇にキスをした。

そして真っ赤になって返事に困っている私の手を取り立ち上がると、リビングへと向きを変える。


「楽しみだな」


言葉の通り、心なしか楽しそうに見えた湊の横顔に、ドクンと心臓が大きく跳ねた。

相変わらずリビングから漂うカレーの香りと、ドアの隙間から床に転がっているお玉が見えて、とても不思議な気持ちになる。

……なんとなく、一週間後が怖いかも、なんて。

だけど不思議と期待しているような自分もいるから、やっぱりなんだか恥ずかしくてたまらない。

 
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