新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「でもさぁ、クリスマスに向けた、新しい企画の提案って言ってもなぁ……」
頭を抱えたカブくんは力なくデスクに額をつけた。
──クリスマスに向けた新しい企画の提案。
それは企画部が今一番、力を入れている案件だ。
『これまでのLunaで提案してきたものとは少し視点を変えた企画を期待している』
……というのは社長である湊の希望で、企画部のみんなは私が入社する以前からここ数週間に渡って、この希望に頭を悩ませ続けているらしい。
「いくらジュエリーのデザインに凝ったって、基盤となる企画がグラグラじゃあ意味ないんすよ」
「サツマっちは手厳しすぎるよ……。そんなに言うなら、サツマっちも良い案あるんだよね? ねぇ?」
「そ、それは……っ」
「ないのに、文句ばっかり言ってんの?」
「まぁまぁ、ふたりとも落ち着け」
とうとう、いがみ合いを始めたサツマちゃんとカブくんを宥めたのはナスさんだった。
ふたりはまだ何か言い足りなそうにしていたけれど、窘められて素直に唇を引き結ぶ。