新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「まぁ……先週、社長に提出した企画は全ボツだったしな。焦る気持ちもわかる……というより、実際、もう時間もないし。とにかく今は、何か糸口となるポイントをイチからひとつずつ模索してみよう」
会議用のデスクの上に広がった企画書の一枚を、リーダーである根岸さんが拾い上げた。
どれもみんなが一生懸命考えた企画なのだけれど……。
そんなことを考えながら眉根を寄せれば、隣に座るサツマちゃんが深く重い溜め息を吐いた。
「糸口になるような何か、かぁ〜。でも、そもそも私、恋人ありきの企画、飽きてたんすよね」
「飽きてたの?」
「そうッスよ。だって私、もう二年以上、彼氏いないし」
「えっ⁉ サツマちゃん、そんなに可愛いのに彼氏いないの⁉」
続けられた予想外の言葉に思わず声を上げてから、慌てて口元を押さえて黙る。
……いけない、仕事とは無関係のことだった。
だけど、それくらい意外だったのだ。
だってサツマちゃん、すごく可愛いのに……。
多少、口調がキツイときはあるけれど、オシャレさんだし裏表のない良い子だし、彼女に恋人がいないとは思いもしなかった。