新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「たとえば、これをどんなシチュエーションで貰ったのかとか、どんなイベント毎で貰ったかとか、色々と参考に──」
「サツマちゃん、ごめんね。これは……このネックレスは、彼から貰ったものではないんだ」
「え?」
「このネックレスはね。昔、ある人から貰ったものなの」
もう、このままではどうにも収まりそうにない。
そう判断した私は興奮気味に言葉を続けるサツマちゃんの声を切って、睫毛を伏せた。
同時に、苦笑いも漏れる。
私が肌見放さずつけている桜のチャームがついたネックレス。
これは、彼……湊から、貰ったものではない。
「私の両親は、私が子供の頃に事故で亡くなっているんだけど……。このネックレスは、そのときに会った小学生くらいの男の子から貰ったものなんだ」
「え?」
「名前も何もわからない相手なんだけど……。でも、それからお守りみたいな感覚で、毎日身につけてるだけなの」
そう言って小さく笑うと、先程よりも懐かしい、淡い記憶が脳裏を埋めた。