新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「 家族になろう 」
「桜、少し休んだほうがいい」
そう、湊から何度めかの声をかけられたのは、日曜日の夜だった。
金曜日の夜に病院からおばあちゃんの容態が急変したとの連絡が入り、私はほとんど眠ることもできずにおばあちゃんに付き添っていた。
「……大丈夫です。湊のほうこそ、出張から帰ってきて疲れているのに、ごめんなさい」
連絡を受けた湊は私と一緒に病院へ来て、昨日、仕事のために数時間だけ家に帰った。
だけどその前にシンガポール出張から帰ってきたばかりの彼は、私以上に疲れているはずだ。
それなのに湊は私のそばにいてくれて、冷たくなった手をそっと握り続けていてくれた。
安易な慰めの言葉をかけることもなく、ただそばにいてくれた。