新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「明日から仕事だし、湊は先に帰って休んでください」
心配そうに私を見る彼を見上げて言えば、繋がれた手に強く力が込められる。
「今、桜を残して帰れるはずがないだろう。近衛には昨日、事情を説明済みだし、仕事についても融通を効かせてもらえるようにしてある」
「でも……新企画が……」
ぽつりと零したのは、金曜日に企画課でまとめたクリスマス企画の件だ。
本来なら月曜日の朝イチで、企画課と湊で打ち合わせをすることになっている。
だけど湊が出社しなければ、それも延期になってしまうだろう。
「企画課のメンバー全員が、必死に考えて上げた案件なんです。スケジュール的にもギリギリですよね? だから湊は出社してください。私は……大丈夫なので」
再び彼を見上げて精一杯の笑顔を見せると、湊は眉根を寄せて押し黙った。
クリスマス企画の企画書は、根岸さんに言われてサツマちゃんと私が一緒に作った。
他の案件を置いてまで金曜日中に仕上げたのも今言った通り、スケジュール的に厳しいところまで来ていたからだ。
湊だって、それは重々承知しているだろうし、新企画は今のLunaの中でも最優先事項のひとつだと思う。
だから明日は湊には通常通り出社してもらって、企画課との打ち合わせに出てほしい。
そうしなければ企画課のみんなにも申し訳ないし、何よりこれで間に合わなかったら、私はみんなに合わせる顔がなくなってしまう。