新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……私、ほんとにダメですね」
零れた弱音は病室の無機質な空気に溶けて消えた。
「湊に拾われて、夢を追える場所まで与えてもらって……。今度は私が湊の期待に応える番だったのに、結局、足を引っ張ることしかできなくて……」
思わず自嘲の笑みまで溢れて、情けなさで胸が軋んだ。
湊と出会って、彼と過ごしているうちに、自分自身と向き合えるようになったと思っていた。
たくさん甘えて、甘やかされて、数え切れないくらいの幸せを彼からもらった。
どうすれば彼に恩返しができる?
そして、私は一つの答えにたどり着いた。
夢を叶えることが、湊への恩返しになる……ということ。
湊は私の過去の作品のおかげで、今のLunaがあるのだと言ってくれた。
とても。とても嬉しくて、幸せなことだと思ったんだ。
そして、この先もLunaで役に立つ人間になれたら、Lunaの社長である彼を助けることができるかもしれない。
仕事の面でも彼の力になれるかもしれないと思ったら、嬉しかった。
妻としてだけでなく、湊のことを支えられる。
歓迎会の席で根岸さんに言ったとおり、私は本気でそう思っていたのだ。
そうすることで、おばあちゃんのことまで支えてくれている彼の思いに、報いることができるとさえ思っていたのに……。