新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「 帰したくない 」
「……なるほど、GIFTシリーズか」
月曜日の朝。
いつものようにマンションのエントランス前で別れ、予定通り出社した湊と私は、Lunaの打ち合わせスペースで再び顔を合わせた。
こうして改めて、社内で顔を合わせるのは久しぶりだ。
イチ社員である私と社長である湊ととの接点はないに等しいのだから、当然と言えば当然なのだけれど……。
チャコールグレーのスリーピーススーツに身を包んだ湊は朝も見たはずなのに、社内で見ると何倍増しにもカッコよく見える。
企画書を真剣に見つめる彼を色んな意味でドキドキしながら見つめていると、不意に顔を上げた湊と視線が交差した。
「根岸から事前に、この企画は花宮さんの意見が多く取り入れられていると聞いたけど、それは本当?」
家では仕事の話の詳細はしてこなかった。
それは打ち合わせでリーダーである根岸さんから何かしらのアプローチがあるからだろうとも思ったし、勝手に話しをするのはルール違反なような気もしていたからだ。