新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「ネクタイを結び直すまで、少し待て」

「み、湊……っ!」


突然、そんなことを言い出した彼を前に慌てて止めに入ったけれど、後の祭りだ。

ネクタイを結び直すまで待てなんて……。

そんなの、今の今まで"そういうこと"をしていたと宣言したのと同じだ。

だけど、そんなことは意にも返していないらしい湊は私へ向き直ると、たった今緩めたばかりのネクタイを指差す。


「……邪魔が入ったから、続きは家に帰ってからしよう」

「……っ」

「今度は絶対に、逃さないから」


真っ赤になった顔を必死に誤魔化しながら、手探りで彼のネクタイを結び直した。

……そんなことを言われたら、もう逃げられない。

そう思うのに相変わらず胸はドキドキと高鳴っていて、落ち着かなかった。

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