新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「大丈夫です。局側からも予め番組進行スケジュールと質問内容の資料も戴いていますし、数日前に近衛さんを通して、みな──いえ、如月社長にもご報告済みです」
ここ最近、うっかりすると湊、と名前で呼んでしまいそうになって慌てて必死に取り繕った。
それは彼との生活に慣れてきたからでもあるのだけれど、相変わらず社内では私たちの関係は秘密のままだ。
「よし。そしたらあとで、近衛さんから質問の回答をもらってきてくれ。こっちでも、社長の答えは把握しておいたほうがいいだろう」
今回の仕事で企画課の仕事は、企画立案だけではないのだと知った。
企画立案、そしてそのあとの宣伝方法、関係各所へ配布するためのプレスリリースの作成、更には取材やマスコミ対応まで、やらなければならないことは幅広い。
「メールより、直接受け取ってきたほうがいいでしょうか」
「そうだな……。確か、このあと社長は社外打ち合わせの予定も入ってるし、早めのほうがいいかもな」
「わかりました」
そんな企画課の仕事にも数ヶ月が過ぎた今、ようやく慣れてきた。
私は根岸さんに指示を受けたあとすぐに企画課を出ると、ひとり、社長室へと急いだ。