新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「三度目の運命の再会……というものが本当にあるのなら、それはとても素敵なことだと思います」
思ったことをそのまま口にした。
すると近衛さんは一瞬だけ驚いたように片眉を持ち上げたあとで、口元を綻ばせる。
「……そうですか。それなら良かった」
何が良かったのだろう、とまた疑問に思ったけれど、なんとなく尋ねるのは気が引けた。
もしかして──近衛さんの恋の話だろうか。
だとしたら、その詳細を尋ねられるほど私たちの距離は近くない。
「お忙しいところ、引き止めて申し訳ありません。また何かあれば、ご連絡ください」
言われて私は再び頭を下げたあと、今度こそ来た道を戻った。
──運命の再会。
それも今後、また何かの企画で使えるかもしれないな、なんてことを考えてしまう具合に仕事は楽しい。
企画課に戻ってさっそくノートにメモを残して、近衛さんの恋が上手くいけば良いと思った。
✽ ✽ ✽
「それでね、明日ついに企画の発表がされるの」
一日の仕事を終え会社を出た私は、真っ直ぐにおばあちゃんの待つ病院へと向かった。
危険な状態から抜けて奇跡的な回復を見せてから、約二ヶ月。
相変わらず予断は許さない……と言われているものの、おばあちゃんの容態は落ち着いている。