新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


 ✽ ✽ ✽


「おかえりなさい」


その日の二十一時過ぎ。

連絡のあったとおり帰宅した湊を、私は玄関先で出迎えた。

今夜はビーフシチューだ。

湊のリクエストで前日から仕込んでおいた、おばあちゃんから教わった得意料理のひとつで、湊の好きなメニューでもある。


「秋乃さんの様子はどうだった?」

「うん。今日も落ち着いてたよ」


彼の手からトレンチコートを受け取って、おばあちゃんの話をしながらリビングへと向かう。

けれどコートをお決まりの場所にかけ、「先にお風呂にする? それともご飯?」と聞いたところで、唐突に彼の腕に捕まった。

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