新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「とりあえず、先に風呂に入ってくるよ」
短いリップ音を立てて離れた唇。
それだけ言い残した湊がバスルームに消える。
──ここ最近は、いつもこう。
散々甘い言葉を囁いて、散々甘い刺激を私の身体に残すくせに、最後までしようとはしてくれない。
……もしかして、私の身体に魅力がない?
そう不安になるのだけれど、散々可愛がるだけは可愛がってくれる指先に嘘はない。
けれどいつも最後には、『今日はここまで』と切り上げられてしまうんだ。
──生殺しみたい。
なんて、そんなことを女の私が思うのは恥ずかしい。
しばらくしてシャワーの音が聞こえてきたので、私は気持ちを切り替えてキッチンへと向かった。
……今は、大事な仕事がある。
まずはそれが落ち着いてから……夜のことも考えよう、と、ここ数ヶ月は自分に言い聞かせ続けている。
ビーフシチューをゆっくりと弱火にかければ、リビングには芳醇な香りが漂った。
つられるようにバスルームから出てきた湊とふたり、ダイニングテーブルに座って手を合わせる。
そしてその日は他愛もない話をしながら、ふたり揃ってベッドに入った。
私を抱きしめ眠る腕は暖かく、自然と瞼は閉じていた。