新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
✽ ✽ ✽
「それじゃあ、今日はよろしく頼む」
翌日、いつもどおり揃って家を出た私たちは、エントランスの前で向き合った。
けれど今日は珍しく、湊の方から今日の業務についての話をされた。
普段、家では仕事の話はほとんどしない。
それは仕事は仕事、プライベートはプライベートに分ける彼の方針でもあるのかもしれないけれど、私が話せば彼はいつも丁寧に聞いてくれる。
「取材も含め、発表が成功するように精一杯務めるよ」
昨日の夜ですら細かい話をすることはしなかったのに、改めてそう言われて思わず顔が綻んだ。
「はい。私たち企画課は精一杯、如月社長のサポートをさせていただきます」
家ではあくまで夫婦としていたい。
敢えて言われたことはないけれど、多分、湊はそう思っているのだろうと解釈していた。
けれどそれは私も同じで、こうして二人きりのときに彼を"社長"と呼ぶことは結婚してから一度もなかった。