新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「仮に今……おばあちゃんのところへ行ったとしても、おばあちゃんは喜びません」
断言すれば、湊の瞳が僅かに揺れる。
おばあちゃんは私のアイデアが通って、企画が実現することを誰よりも喜んでくれていた。
頑張れ、と、まだ頼りない私の背中を、強く押してくれたんだ。
「おばあちゃんは、今日の発表を楽しみにしてくれていました。それに私が関わっていて、立ち会うことを誇らしいと言ってくれました」
──それなのに私が今、仕事を投げ出しておばあちゃんのところへ駆けつけたら、おばあちゃんは自分のことを責めてしまうだろう。
これまでずっと、自分の看病のせいで私の夢を奪ってきたと思っていたおばあちゃんに、最後の最後まで負い目を感じさせることになる。
「だから私は、仕事に行きます。今、私がやるべきことはLunaのクリスマス企画を成功させることですから」
言い終えて、精一杯の笑顔を浮かべた。
──私は引かない。
だってこれが、私が選んだ道だから。