新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「……桜の気持ちは、わかった。だけど今日は一緒に出社しよう」


そして湊はほんの少し考え込んだあとで、再び静かに口を開いた。


「でも……一緒に出社したら私たちの関係が……」


いつもはここで別れて私は電車、湊は車でLunaに出社する。

それはLunaでは私たちの関係を隠しているからで、私が彼の妻であることを隠したいと彼にお願いしたからでもある。


「桜の気持ちはわかった。だけど今、夫として桜をひとりにすることはできない」

「ありがとう、ございます……」


思わず声が湿った。

本当は心細い思いでいる私に、彼は気がついていたのだ。

どんなに口では仕事に行くと言っても、おばあちゃんが心配である気持ちは変わらない。

このまま、おばあちゃんを看取ることもできないかもしれない。

おばあちゃんをひとりで逝かせることになってしまうかもしれない──と思ったら、どうしたって後ろ向きにもなってしまう。

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