新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「……湊、ありがとう」


湊には、そんな私の気持ちは最初からすべてお見通しだっただろう。

ぽつりと零すと彼の腕に抱き寄せられて、余計に涙が止まらなくなった。


「ありがとう、は俺のセリフだ。辛い中、俺の仕事のサポートをしてくれて、本当にありがとう」

「う、うーーっ……」

「よく、頑張ってくれた」


年甲斐もなく嗚咽が漏れた。

泣いても泣いても涙が枯れない。

大好きな人との別れは、辛く悲しい。

信じたくないのに受け入れなければいけないと思うのは、私が大人になったからなのだろう。


「このようなときに、申し訳ありません……」


と、そのタイミングで不意に、看護師のひとりに声を掛けられた。


「実は、この手紙を花宮さんが握り締めていて……。多分、ご家族に宛てた手紙だろうということで、こちらで預かっていました」


言いながら渡されたのは、封筒にも入っていない便箋だった。

くしゃりとシワが寄っているのは、おばあちゃんが苦しみながらもこれを必死に握り締めていたからだろう。

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