新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「て、がみ……?」
「桜、読めるか?」
気遣うような湊の言葉に一度だけ頷いて、私は震える手で二つに折られていた手紙を開いた。
【──桜ちゃんへ。】
そんな書き出しから始まった手紙には、大好きなおばあちゃんの見慣れた文字で、私への最後の言葉が綴られていた。
【──桜ちゃんへ。
この手紙を桜ちゃんが読んでいるということは、もう私はこの世にいないということですね。
桜ちゃんと、もうお話ができないのはとても寂しいことだけれど、今、これを書いている私の心は凪いだ海のように穏やかです。
これまでずっと、私がいなくなったら、桜ちゃんがひとりぼっちになってしまうのではないかと心配でした。
けれどもう、心配する必要はありませんね。
桜ちゃんには、湊くんというとても素敵な家族がいます。
私も彼が桜ちゃんの旦那様になってくれたこと、とても嬉しく幸せに思います。
──大好きな桜ちゃん。
どうか、彼と世界で一番幸せになってください。
小さなあなたと暮らし始めたあの日から、私の願いは愛しいあなたが、いつも幸せであることです。
彼となら、きっと素敵な家族になれるでしょう。
彼ならきっと、あなたを生涯幸せで包んでくれると思います。
二人の間に、いつでも"愛の花"が咲き続けますように。
最後に、湊くん。
桜のことを、どうかよろしくお願いします。】