新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


【──秋乃】と。震える字で書かれた手紙の最後には、自分のお葬式は最低限の親族のみでやってほしいというおばあちゃんからの希望が書かれていた。


「おばあちゃん……っ」


涙が溢れて止まらない。

大好きだった。ずっとずっと、二人きりの家族だった。

いつでも私の手を引いて、今日までずっと、守り続けてくれた、たった一人の家族だった。

子供の頃からずっと、おばあちゃんだけが私の唯一の家族だったんだ。


「……秋乃さんの最後の願いは、俺が絶対に叶える」


手紙を握り締めた私を、再び湊が抱き寄せた。

──だけど今は、ひとりじゃない。

今は私にももう一人、大切にしたい家族がいる。

私はおばあちゃんに、どれだけのものを貰っただろう。

それなのに私は、どれだけのものを返せたのかもわからない。

それでも今……私が彼を愛しいと思えるのは、おばあちゃんが私を愛し、今日まで育ててくれたからだ。

おばあちゃんが愛をくれたから、私は人を愛することができるのだ。

──それから時間いっぱいまで泣いて、私は約束通り湊を連れて病院を出た。

このあと、手続きなどやらなければならないことはたくさんあるけれど、まずは会社に戻ってやるべきことをやらなくてはならない。

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