新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……近衛からだ」
すると、病院を出たタイミングで近衛さんから湊のところに連絡が入った。
すぐに電話に出た湊はおばあちゃんのことを話すと、思いもよらない言葉を口にする。
「このあと数日のスケジュール調整を頼みたい」
驚いて彼を見上げた私に、湊は穏やかな笑みを浮かべた。
「……ああ。俺無しでも進められる案件は、来週以降に廻してくれ。取材のスケジュールも調整可能だろうし、どうしても……というもの以外はすべて、そちらで片付けてくれ」
迷いのない声で告げた湊は、そのまま通話を切ってしまった。
突然のことに呆然としていた私は慌てて我に返ると、彼の腕を掴んだ。
「み、湊、どうして……っ。私はともかく、湊はプロモーションもあるし仕事に行かないと──」
けれど、そこまで言い終えた私の額に、コツン、と湊の長い指がぶつけられる。
驚いて目を見開くと、湊が再び静かに口を開いた。