新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない

　


「す、すみません……。これが現実だとしたら、本当に素敵なお話だとは思うんですけど……」


そう頭で理解しながらも、とりあえず一度、受け止めてみた。


「素敵な話だと思う……けど？」

「……はい。でもまず、常識的に考えて……如月さんに、そこまでしていただくわけにはいきません。そんなに良くしていただく理由もないですし、そんなご迷惑もかけられません」


至極当然な返事をしたと思う。

だけど真っ直ぐに彼の目を見て答えた私を前に、やっぱり如月さんは一瞬だけ目を丸くしてから、今度は見惚れるほど綺麗に微笑んでみせた。


「理由ならあるよ」

「え？」

「さっきも言ったけど、それくらい俺は今、君が欲しい。……花宮 桜さん。俺は今、君が欲しくてたまらなくて、どうしたら君を手に入れられるか……どうしたら君が俺に興味を持ってくれるか、必死に考えてる」

「……っ」


キザな台詞をサラリと恥ずかしげもなく言ってのけた如月さんは、色気たっぷりに目を細めた。

身体の芯が甘く震えたのは多分、女としての本能が、彼にくすぐられたからだろう。

どうしたら私が彼に興味を持ってくれるか……なんて。

そんなの、彼を前にした女性なら誰もが一度は、彼を知りたくなるに違いないのに。