新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「君のためなら、どれだけ労力を使っても惜しくはない。……ああ、そうだ。これからは、お祖母様の入院費も俺が工面する。そうすれば少しは、君の負担も減るだろう?」
……やっぱり、これは夢だ。たちの悪い夢。
私、疲れてるのかな。幻想だとしても、やけに生々しいのが嫌になる。
もう、何を信じていいのか……自分すら見失いそうだ。
だけど相変わらず迷いのない彼を前にして、心臓は早鐘を打つようにバクバクと高鳴っていた。
次は何を言われるのかと緊張しながらも……女として淡い期待を抱いている。
そんな自分は初めてで、なんだかすごく、恥ずかしくなった。
彼にもバレてしまってるような気がして、余計に頬が熱くなる。
「……あ、あの」
「……ほんと、可愛いな」
「……っ」
「大丈夫。君は安心して、自分の夢を追い掛ければいい」
「そ、そんな……。それこそ私には如月さんに、そこまでしていただく理由がないです……。それに私、こういうことに免疫がないので、もう本当に……からかうのは、止めてください……」
とにかく必死に、言葉を絞り出した。
すると今度は、そっと目を細めて魅惑的に笑った彼の瞳に射抜かれる。
むせ返るような色気を纏った甘い瞳だ。
ドクンと心臓が飛び跳ねて、思わず首元で光る桜のチャームに手を添えた。
……自分で自分がわからなくなるのが怖い。
彼に飲み込まれて、自分の持ったモラルと常識を、甘い言葉で溶かされてしまう。