新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……わかった。それなら今、その理由も作ってしまおうか」
そうして告げられた言葉に、私は二十六年間生きてきた中で、一番と言っていいほどの衝撃を受けた。
「俺と、結婚しよう」
「け……結婚……?」
「そう。そうすれば俺は堂々と、君の望む全てを叶えられる。もう一々、何かするたびに理由を探すような面倒くさいこともしなくて済むし、君の家族なら夫である俺が守って当然だろう?」
「な……なに、言って……」
息を呑む。
何か言わなきゃと思うのに、続く言葉が出てこない。
「基本的に遠回りは嫌いなんだ。今、目の前に欲しいものがあるのに、指をくわえて見ているだけなんて、俺にはとても耐えられない」
「……っ」
「何度も言うようだけど、俺は今すぐにでも、君が欲しい。だから、花宮さん──いや、桜。俺と、結婚しよう。それが桜だけでなく、今の俺にとっても、"最善"だ」