新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「良かった。これで安心して桜を、幸せにできる」
何度聞いても、私には勿体無い言葉だ。
だけど今、ここにある温もりは確かに、私に手を伸ばしてくれている。
それならその手を取って、前を向こう。
まさかこんなことになるなんて、数時間前の自分が聞いたら、きっと腰を抜かすだろう。
「……こんな結婚、世間の一般常識で考えたら絶対に、あり得ないですよね」
「そうかな?」
「そうですよ。だけどもう、常識とかそういうのを考えだしたらキリがないし、私は私の直感を信じます」
「……ああ」
「そしてどんな始まりであれ、あなたの妻になると決めた以上、私は最善を尽くします。あなたが私との結婚を後悔しないように、私は私なりに精一杯頑張りますので……。如月 湊さん。どうぞ末永く、よろしくお願いします」
再び背筋を伸ばすと彼の正面に座ったまま、改めて頭を下げた。
こんな結婚を私が決めたと知ったら、おばあちゃんは悲しむだろうか。
ううん……どうしてか不思議と、彼に会ったら、おばあちゃんは喜んでくれるような気がする。
『おめでとう』と、笑顔を見せてくれる気がする。