新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「 ずっと探してた 」
「まぁ驚くし、すごい話だよね。でも、おめでとう」
如月さんと初めて顔を合わせてから、早三週間が経とうとしていた。
慌ただしかった三週間をどうにか乗り越え、ようやく時間をつくることができた私は、学生時代から行きつけだったカフェを訪れている。
「それにしても玉の輿かぁ。いいなぁ……あ、デザートにチーズケーキ頼んでいい?」
「蘭(らん)って、本当マイペースだよね……。なんか、逆に落ち着く。ありがとう」
お決まりのホットコーヒーに口をつけながら息を吐くと、向かいの席に座る友人の蘭が、面白そうに笑った。
「これでも一応、驚いてるよ? だって桜の結婚相手が、あのLunaの社長だなんて。私もLunaのジュエリー持ってるけど、本当に可愛くて大好きだもん」
ロイヤルミルクティのグラスに手を添えた彼女の言葉に、「だよね……」と、他人事のように返事をした。
蘭とはデザイン学校時代からの付き合いだ。
グラフィックデザイン科とプロダクトデザイン科で所属は違ったものの、なんとなく気が合って、社会人になってからも時々こうしてランチを楽しんでいる。
今、蘭はグラフィックデザイナーとして日夜仕事に励んでいた。
私にネットショップを始めるように勧めてくれたのも他ならぬ、彼女なのだ。
いつ会っても綺麗で人目を引く容姿をしているのに、それをちっとも鼻にかけない蘭。
私はそんな彼女のことがとても好きで、ジャンルは違えど"デザイナーになる"という同じ夢を志していた友として、尊敬もしている。