新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
如月さんに連れられるがままやってきたのは銀座の一等地に構えられた、知る人ぞ知る老舗料亭。
そこには如月さんのお父様……つまり、With Weddingの代表取締役社長が待っていて、必然的に身体には緊張が走った。
厳格そうなお父様の隣には、可愛らしい雰囲気を纏ったお母様が座っていた。
如月さんと知り合って、まだ二日目の出来事だ。
自分が何故この場所にいるのか……私は一瞬で、わからなくなってしまった。
如月さんはセレブな御曹司で、そもそも私とは生きる場所も次元も違う人。
だからこそ、ご両親にはきっと、私との結婚は反対されるに違いない。
そうしたらキッパリと身を引いて、今回のことは彼の一時の気の迷いだったのだと、すべてを忘れようと覚悟をしたのに……。
『桜さん、はじめまして。不束かな息子ですが、どうぞよろしくお願いします』
ご両親は私を見るなり顔を綻ばせると、何故か両手を広げて、ちっぽけな私を歓迎してくれた。
これは私の勝手な想像だったのだけれど、如月さんほどの地位と名誉を持ち合わせている人なら、許婚とか親が認めた結婚相手しか、受け入れられないんじゃないかと思っていた。
『桜は、ドラマの見すぎだよ』
だけど思っていたことをそのまま呟くと、彼は面白そうに喉を鳴らして笑い、私の妄想を一蹴した。