新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「五歳差ってとこだけ聞くと、少し落ち込むな……。俺が大学一年のとき、桜はまだ中学生か」
「犯罪ですね……」
「ああ、間違いない」
「ふふっ。でも、もうすぐ私も二十七になるので、四歳差になりますよ。寧ろ、この年になると四歳差も五歳差も気にならないから、不思議ですね」
乗り心地の良い如月さんの愛車のシートに背を預けて笑うと、彼も面白そうに喉を鳴らした。
一番不思議なのは彼の名前の横に自分の名前が書かれていることなのだけれど、それはもう今更、敢えて口にはしない。
この三週間で両家への挨拶、私の勤めていた会社への辞表の提出、おばあちゃんの転院の手続きに、引越し先の決定までを済ませた私達は、これから晴れて家族になる。
最初は驚きと戸惑いしかなかった結婚も、如月さんといるうちに私の中で現実味を帯びてきた。
それは彼がこの三週間、常に、誠実に対応してくれたからなのだと思う。
とても忙しいはずなのに、いつでも私を気遣い気に掛けてくれて、そっと手を取ってくれるのだ。
「……如月さんは何が好きですか。趣味はなんですか。子供の頃は、どんな子供でしたか?」
これみよがしに尋ねる私に、運転中の彼が「見合いの席みたいだなぁ」と零して柔らかに目を細めた。
「好きなことは、映画鑑賞かな。趣味は、ジュエリーやアクセサリーを眺めること。子供の頃は……そうだな、なんでも一番じゃないと気が済まなくて、とにかく負けず嫌いで嫌味な奴だったと思う」
「ふふっ、なんだか想像できちゃいます」