新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
赤信号で車が止まって、反動で身体がシートに沈む。
ふと隣に目をやれば私の視線に気付いた彼と目があって、自然と頬が色付いた。
「……今更俺を質問攻めして、どうするつもり?」
ハンドルに腕を乗せ、こてん、と首を傾げた彼を前に鼓動が跳ねた。
そっと細められた綺麗な瞳には心の奥まで見透かされてしまいそうで、身体の芯が甘く痺れる。
狭い車内に二人きり……というのはまだ慣れなくて、意識すると緊張せずにはいられなかった。
「い、一応これから如月さんの妻になるので、夫のことは少しでも多く知っておかないと、ご迷惑になることもあるかと思って……」
慌てて視線を反らして俯くと、私はキュッと唇を噛み締めた。
まだ知り合って三週間、私達はお互いに知らないことが多過ぎる。
如月さんはそれについて、何故か然程気にしている素振りは見せないのだけれど、私はどうしても気になって仕方がなかった。
如月さんは……どうして私と結婚するだなんて言い出したのだろう。
それほどまでに、Cosmosのアクセサリーを気に入ってくれたから?
だけど、だからといって仕事のためだけに結婚するなんて、やっぱり私には理解ができない。
もちろん、"これが自分の最善だと思うから"という打算で、彼との結婚を決めた私に、言えたことではないけれど……。
彼ほどの人であれば結婚相手は選り取り見取りのはずなのに、本当に私で済ませて良いのだろうか。