新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「 ただいま 」
「いよいよ明日から、新しい職場でお仕事が始まるのね」
日曜日の夕方。
私はいつも通り病室で、おばあちゃんと談笑していた。
「うん……。未だに夢を見ているみたいで、あんまり実感はないんだけどね……」
無事に湊と入籍を済ませてから二日が経ち、明日から私は憧れのLunaで働くことになっていた。
言葉の通り、まだどこか夢でも見ているみたいだ。
思わず苦笑いを零して俯くと、おばあちゃんの温かい手が私の手を包み込み、落ちていた視線が自然と上を向く。
「大丈夫。桜ちゃんなら、きっとやれるわ。ずっと、デザイナーになるのが桜ちゃんの夢だったでしょう? だから自分を信じなさい。私はいつでも、あなたのことを応援してる」
柔らかな笑みを浮かべたおばあちゃんは、私の手の甲を優しく撫でた。
子供の頃に何度もしてくれた、私の心を落ち着かせる、おばあちゃんだけが使える魔法だ。
「おばあちゃん、ありがとう……」
ぽつりと零して頷くと、おばあちゃんは満足そうに笑ってくれる。
それだけで不思議と勇気が出て、私は何度だって前を向くことができるのだ。