新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「ふふっ、やっと笑ってくれた。やっぱり、桜ちゃんには笑顔が一番似合ってる」
おばあちゃんの優しさと強さに、私はこれまで幾度となく救われてきた。
泣きたくなったり落ち込むことがあっても、おばあちゃんの顔を見ると自然と、『明日もがんばろう』と思えるのだ。
「おばあちゃん、私……」
「これから何か困ったことがあったら、一人で抱え込まずに如月さんを頼りなさい。あの人ならきっと、迷っているあなたを明るい場所まで導いてくれるはずだから」
「え……」
だけど、突然飛び出した湊の名前に、思わず目を見開いて固まった。
おばあちゃんは相変わらずニコニコと笑みを浮かべているけれど、私は首を傾げずにはいられない。
「どうして急に、湊なの……?」
尋ねた私に、おばあちゃんは意味深に目を細めて口を開く。
「如月さんならきっと、これからのあなたを支えてくれると思うから。とても、素敵な人ね。ふたりはとても、お似合いだと思う」
おばあちゃんがどうしてそんなことを言い出したのかわからずに、私は返事に詰まってしまった。
確かに、湊は素敵な人だけど……私とお似合いかと聞かれたら、百人中、九十九人は首を横に振るんじゃないかな。
「実は……あなたが如月さんと結婚の挨拶に来てくれた翌日ね。もう一度、如月さんは一人で私のところにきてくれたの」
「え……」
けれど、そんな私の心情を見透かしたように、おばあちゃんは言葉を続けた。
思いもよらない話に驚くと、おばあちゃんはその時のことを思い出したのか、柔らかに目を細めて手元へと視線を落とした。