新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「昨日は突然出向いて、驚かせてしまってすみませんでした。おばあ様が僕に対して思うところがあれば、なんでも仰ってください……って、丁寧に、頭を下げるの」
おばあちゃんが、まさか嘘を吐くわけがない。
だけど私は、そんな話は湊から聞いていなかった。
どうして私に内緒で、おばあちゃんに会いにきたの……?
考えれば考えるほど胸が波打つように高鳴って、唇は乾いて落ち着かない。
「如月さんはね、自分がどうして桜を好きになったのか……桜との出会いや、自分の仕事の話……あなたに結婚を申し出た経緯も全て、包み隠さず話してくれたのよ」
ドキリと鼓動が跳ねたのは、湊との結婚を決めたときの自分を思い出したからだ。
あのとき私は、打算で彼の申し出に頷いた。
だけど、おばあちゃんにはまだ、私の口から、それについて詳しく説明をしていなかったのだ。
なんとなく、どう説明すれば良いのか整理をつけずにいたというのが本音なのだけれど……。
本当のことを包み隠さず話して良いのか、結論を出せずにいたということが一番の理由だ。
「話を聞いて、桜ちゃんはもしかしたら、私のために如月さんとの結婚を決めたのかもしれないと思って……とても不安で、二人に申し訳なくも思ったわ」
「……っ、それは違うよ!」
つい声を張り上げると、おばあちゃんは驚いたように目を見開いて私を見た。
ここが病室であることに慌てて口を噤んで眉尻を下げたけれど、どうしても叫ばずにはいられなかったんだ。
だって、おばあちゃんは……間違ってる。
興奮を落ち着かせるように、今日も胸元で光る桜のチャームに触れると長く深い息を吐いてから、今度は真っ直ぐに、おばあちゃんを見つめた。