新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「今はまだついていくのが精一杯だけど、私も彼が私を想ってくれているように、彼を愛したいと思ってる。だから、おばあちゃんが不安に思ったり、申し訳ないとか思う必要なんて、一つもないの。本当だよ。私はこんな、嘘を吐かない」
真っ直ぐにおばあちゃんを見て言い切ると、私の言葉に答えるように重ねられた手に力が込められた。
「私、湊と結婚できてよかった。今、彼と一緒にいて幸せだよ」
「そう……よかったわ……」
柔らかに微笑んだおばあちゃんの目に涙が浮かんでいるから、思わずつられて泣きそうになった。
湊と二人でおばあちゃんに結婚の挨拶に来て以降、おばあちゃんはほとんど湊のことを私に聞いてこなかった。
おばあちゃんはおばあちゃんなりに、色々と考えていたのかもしれない。
当然と言えば、当然だ。
たった一人の孫娘が出会ったばかりの人と結婚すると聞いたら……大丈夫なのかと心配もするだろう。
だけど、今伝えた通り、おばあちゃんは思い悩む必要なんてない。
安心して身体を治して、それでまた退院したら、三人でも広すぎるあの家に帰るんだ。
「……如月さんもね、桜ちゃんと同じことを言っていたわ」
「え……」
「僕に対して申し訳ないと思っていただく必要はありません。桜さんと結婚できる僕は、世界で一番幸せな男です。だから、何かあればいつでも僕を呼んでください。おばあ様も、僕の大切な家族ですから……って、彼、本当に幸せそうな笑顔を浮かべて私に言ったの」
「……っ」
堪え切れなかった涙が、頬を伝って零れ落ちた。
本当に、私はどれだけ素敵な人と結婚したのだろう。
一生分の運も、使い果たしてしまったかもしれない。
だけど今……おばあちゃんの言葉を聞いて、これからも彼のそばにいられるのなら、この先、私には特別な幸運が訪れなくてもいいとすら思えるのだ。