新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「み、湊?」
そのままグッと引き寄せられて、不意打ちで逞しい腕に抱き留められた。
品の良いムスクの香りが鼻先を掠めて、心臓がトクリと小さく音を立てる。
「あ、あの……」
「……なんか、いいな、今の」
「え?」
「"おかえり"と、"ただいま"って挨拶。なんか、新婚って感じがする。これからは桜に早く会いたくて、毎日必死に仕事を片付けて帰ってくる自分が想像できて、少し笑えた」
「って言っても、これからは会社でも一緒だけどな」なんて、イタズラに笑った湊はお風呂上がりでしっとりと濡れた私の髪に指を通した。
思いもよらない言葉と行動に身体が熱くなり、私は無自覚で彼のベストを掴んでしまう。
「……もしかして、誘ってる?」
「え……?」
「風呂、俺と一緒に入り直そうか?」
「な……っ」
「ははっ、冗談。それはまた、今後の楽しみのひとつとして、とっておく」
言いながら私を見て色気たっぷりに笑った湊の唇が、からかうように私の唇に優しく触れた。
「……っ!」
突然のことに目を閉じることすらできなかった私は、やっぱり顔を赤くして固まることしかできない。